一日一本映画レビュー　『とんかつDJアゲ太郎』

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『とんかつDJアゲ太郎』

原題：とんかつDJアゲ太郎

公開：2020

監督：二宮健

出演：北村匠海

　　　伊藤健太郎

　　　山本舞香

　　　伊勢谷友介　他

揚げられっちまったアイデンティティに

以下感想。

【俳優陣、しっかりせえ】

『とんかつDJアゲ太郎』。

まぁ、みなまで言うな。
分かる、分かるよ、この手の類の邦画の薄っぺらさはひどい。
たしかに、旬の俳優北村匠海のゴリ押しと言わんばかりの、謎の漫画の実写化、シュールなのかなんなのか「とんかつ×DJ」という突拍子の無さ、狙い澄ましたようなギャグテイストには観る前から辟易するし、期待できない理由は分かる。

しかも、追い打ちをかけるようにクスリ＆ひき逃げ！地獄の試写会見は見てられんかった！

けれど、この映画は俳優の不祥事でミソがつくには少しもったいない映画だった。もう、俳優陣しっかりせえ！

【映画の出来は度外視の加速度的な面白さ】

前半はユルユル、悪ふざけとも言える陳腐なギャグが多かった。加藤諒の安易な起用、小手先のギャグ、モラトリアム絶賛謳歌中の若者たちの日常コメディの様相は、埼玉が翔ぶ例のアレを思い起こさせた。正直これはあかんと思ったけれど、映画が進むにつれ加速度的に面白くなっていった！

漫画の実写化、それを無理やり2時間弱のドラマにするためか、脚本は少し安っぽいテレビドラマ調。キャラクターの描き方や魅せ方、ドラマの組み立てはかなり二段飛ばしで不足を感じるけれども、映画の持つテーマやメッセージはかなり刺さったし、少し涙ぐんだというか、正直泣いた。

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主人公のアゲ太郎は、老舗のとんかつ屋の跡取りなんやけど、とんかつへの情熱も他のやりたいこともなく、同じような境遇の仲間たちとダラダラと日々を過ごしている。ひょんなことからDJと出会い、そこからDJととんかつ屋の仕事にシンパシーを見出し、「とんかつDJ」としてデビューする。

脚本の流れとしてはたいして面白いドラマではない。アゲ太郎のDJへの取り組みの中に、恋心と挫折を絡めながら、最終的には乗り越え大きなものを成し遂げる。その流れは、もはや映画を観るまでもなく分かることやと思う。

この映画の物足りなさとしては、主人公の精神世界やドラマにいまいち入り込めない。どちらかというと、主人公以上に周りのキャラの方が映画を引き立てていたようにも感じ、映画自体が「アゲ太郎」というキャラを持て余していたように感じたな。

とはいえ、脇役が魅力というのは素晴らしい。
アゲ太郎が熱くなれるモノに出会い、傷ついた中で、初めて「仕事」というものと対面する流れ。アゲ太郎を見守る父親を演じたブラザートムの、さりげなく、温かい父親像の演技が映画の味を引き立てる。彼の背中には素直に泣かされたなぁ。

父親が映画に深くかかわってくると、加速度的に映画が面白くなっていったように思った。DJとしての仕事だけでなく、とんかつ屋の仕事の世界にも触れる構成が爽やか。

文句としては、アゲ太郎の友人たちはいまいちハネなかったかなあ。見せ場はあるけど、思い入れは薄め。でも、ブラザートムでおつりがくる！

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【魅惑の俳優たち】
北村匠海のハンサムさは気になるが、彼の器用な演技で素直に好きになれたぜ、アゲ太郎。すこし芋っぽさを残すのも流石やね。北村匠海、お前は恵まれた最高の男だよ。イェー！
山本舞香の可憐さは飛び抜けていて、とにかく彼女が画に映るだけで映画が映える映える。ザ・ヒロイン。誰もが恋する可愛さ！！彼女がクソ野郎の足を思っきし踏んづけたとき、思わずガッツポーズしちゃったよ！
俺は音楽は詳しくないけど、劇中音楽は素直にどれもカッコよくてアガるし、ため込んだものが吐き出されるようなエンタメ感の濁流、思わず膝を手で叩きたくなるリズムの心地よさ！
エンディングムービーは実はオープニングムービーだったという構成も、「仕事」というものへの尊敬を感じて後味ヨシ。“とんかつ屋×DJ”の彼の人生がスタートしたね！
伊藤健太郎はもはや要らなくて、映画の華の為だろうけど、轢き逃げるくらいなら初めからキャスティングせんで良かったんじゃないの？
しかし伊勢谷友介は外せなくて、薬やるなら油やれバカヤロー！

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