1日1本映画レビュー 『スノー・ロワイヤル』
『スノー・ロワイヤル』
原題：『Cold Pursuit』
公開：2019
監督：クハンス・ぺテル・モランド
出演：リーアム・ニーソン
トム・ベイトマン
ブラックユーモアたっぷりの復讐劇
以下感想。
【設定からしてもうおもろい】
名誉市民にも選ばられるほど真面目なコックスマンが、息子を殺した麻薬組織に復讐するっていう話。
主役がリーアム・ニーソンで復讐ってだけでもうおもろそうやし別の映画を連想するけど、設定部分での掴みは完璧やった。
リーアム・ニーソンといえばかなり大人気のアクション俳優で、アクション以外にも名画にたくさん出ている。
個人的にはそんなに彼の出演作品を見たことないんやけれども、出演している作品においてはかなり存在感があった。
激情の演技の俳優というよりは、ささやかな感情をしっとり感じさせてくれる俳優やと思う。
真面目に雪国で除雪をし続けた男は、ある日息子の訃報を知らされる。
警察曰く、薬のやりすぎで死んだとの事。
そんなはずはない…
と信じる男の下に、息子の真の死因を知る若者が現れる。
【死を扱ったブラックユーモア】
とにかくスイッチが入ったように復讐相手をぶっ殺していくんやけど、そのさまがブラックユーモアたっぷりで面白い。
淡々と人を殺していく様子とテンポの良さが癖になる。
アッサリ死んでいく悪党たちと、そのあとに死んだ人物の名前を出す演出。
奇妙な空気感に思わず笑ってしまう。
【何味かわからない複雑な映画】
導入部分や、途中の心理描写など、やけに叙情的。
バイオレンスのテンポや味わい、ブラックユーモアなんかはタランティーノ的。
独特な演出はウェス・アンダーソン的な外連味があるし、人間の無常観や雪国の空気感はコーエン兄弟の『ファーゴ』を思わせる。
とにかく、ゴチャゴチャしててどういう映画なのかあまりつかめない。
面白いんやけど、観終わった直後の感想は「なんだこの映画！？」やった。
ブラックユーモアとしては若干キレ不足、アクションとしてはエネルギー不足、ドラマ
部分はキャラクターの魅力不足。
なんやけど、この「ごちゃまぜ感」があながち悪くない。
この中途半端感が独特なリズムというか感覚を生んでて、意外と楽しめた。
正直めちゃくちゃ心に残るような映画ではないと思うんやけど、監督の映画表現の挑戦や遊び心を感じられる。
個人的な残念ポイントとしては、登場人物が興味深くないところかな…
敵役も主役も、あまり精神面での描かれ方が薄く好きになりにくい。
映画の外面的な楽しさを掬うくらいのスタンスがちょうどよさそう。
バイオレンスは甘口やから観やすい。
エンタメ：☆☆☆☆★
テーマ ：☆☆★★★
バランス：☆☆☆★★
好き ：☆☆☆☆★
計 13／20
〈オススメのリーアム映画〉
・96時間
結局ね
演技が素晴らしい レイフファインズの演技も最高に巧い
