一日一本映画レビュー 『ザ・ファブル』
『ザ・ファブル』
原題:ザ・ファブル
公開:2019
監督:w江口カン
出演:岡田准一 木村文乃 山本美月 安田顕 佐藤浩市 向井理 柳楽優弥 福士蒼汰 他
ミッション:殺すな!
以下感想。
【漫画原作アクション】
殺し屋の下で、殺し屋として育てられた伝説の男、ファブル。
あまりにも鮮やかな手口で、自分の正体を明かすことなくターゲットをせん滅してしまう凄腕の殺し屋。
そんなファブルの新たなミッションは、誰も殺さずに、普通の暮らしを一年間過ごす、というもの。
殺すことを禁じられた殺し屋、という斬新な設定のキャラクターを、岡田准一が演じる。原作は読んだことないねんけど、コミカルな設定にバランスよくシリアスを絡めることが出来る上に、本人もチャーミングでカリスマ性があってアクションが出来るという、かなりいい人選やと思う。
個人的に岡田准一のこと好きやから、俺みたいに岡田准一ファンの人は、文句なく楽しめる作品やと思う。映画自体も、岡田准一の魅力をよく理解していて、しっかりとかっこよく、しっかりとコミカルで、そのギャップの見せ方が良かった。
満足感はあったんやけど、正直いろいろ残念なポイントはあった。
例えば、冒頭のアクションは、ファブルの無双っぷりを示しつつ冒頭で観客を引き込むシーンやと思うんやけど、いまいち盛り上がりが薄かった。
画面は暗く、カットがとても多い。『ジョン・ウィック』的な質感の物々しいバイオレンスアクションを目指しているように感じたけど、せっかく岡田准一がアクションも対応可能の俳優やねんから、もうちょっとアクションを俯瞰で見せてくれてもよかったのでは?と思った。
殺人シーンの容赦なさや、殺し屋ややくざの不条理さとかは、監督の「やりたい!」が観れてよかったと思うけど、相手との距離?みたいなのが出るへんてこな演出は単純にダサかったと思う。
後半の見せ場の大アクションも、せっかく冒頭とは違って「殺しちゃダメ」という縛りを与えているにもかかわらず、アクションが一辺倒で味気ない。
相変わらずカットは多いし、場所は窮屈で派手さが薄いし、肝心のアクションは銃(作中にて、自作だからこの銃はおもちゃみたいなもん、と説明してる)だより。
岡田准一の起用と、斬新な設定を今一つ活かせていないのがなんとももったいなかった。
【豪華俳優陣集結、はいいのだけど】
俳優陣がまあ豪華。
メイン級の俳優が沢山出ている。
佐藤浩市や安田顕とかのベテランは安定しているとはいえ、若手俳優陣は、若干実力不足感を感じたな。
福士蒼汰はクレイジーな殺し屋役。彼の演技は観てるこっちがちょっと照れ臭くなってくる。
向井理も頑張ってはいるけど、やくざには見えん。
彼らが集結するシーンがあるけど、ヤクザ映画というよりは、「クローズ」みたいな味わいやった。
その中でも、柳楽優弥はさすがの名演。
チンピラ感がすごくてヤクザっていう感じではなかったけど、純粋に悪役として魅力的な演技を全うしていた。ボコられながらもへらへら笑うシーンや、気味悪く山本美月に嫌がらせするシーンとか、すごく恐ろしかったし、上手やった。
やっぱり、ヤクザ役って難しいんやろうな。恐ろしくないとあかんし、それでいて、どこかでカリスマ性というか、人を引き付けるようなかっこよさがいる。向井理の役は、もっとベテランの人に任せてもよかったのでは。
山本美月はヒロインとして最高やった。かわいいし、魅力的やし、主人公に守られる存在として素晴らしい。
お金のためにグラビア出るんやけど、それを柳楽優弥に目をつけられてAV出演を迫られるという役。かわいそうすぎてファブル守ってあげて!!!と思った。
あと、面白くないノリやコメディをやたらと引っ張るのだけ気になった。
佐藤二朗の起用もそうやけど、福田雄一リスペクトの小手先の笑いで観客を馬鹿にしてると、いつまでたってもいい作品はできない。
なんか映画の中で一応テーマというかメッセージみたいなのはあって、映画の盛り上がりを生んでいる。
が、個人的にはもう少し映画の焦点を絞ってほしかったかな。あと20分短い映画でよかったと思うし、もう少しエンタメに寄ってほしかった。
【でもなんだかんだ満足感あり】
文句は言ったけれど、じゃあこの映画つまらないか?と聞かれると、そんなことは全くない。
岡田准一のファンとして、彼の魅力を楽しむという目的は十二分に達成できたし、映画自体長くて間延び感はすごかったとはいえ退屈なく見ることが出来た。
楽に見れるアクション映画として、暇な時間をつぶすという役割を完遂してくれた。
エンタメ:☆☆☆☆★
テーマ :☆☆☆★★
バランス:☆☆★★★
好き :☆☆☆★★
計 12/20