1日1本映画レビュー クソ映画供養

クソ映画なんてのはあくまで俺の主観。

どんだけ低評価を受けている映画でも、楽しめたならそれでOK。やからわざわざ「この映画はクソ!」なんていうのもナンセンスではある。

とはいえ、クソな映画にはそれなりにクソというだけの理由がある。

そんなクソ映画をいくつかまとめてレビューし、供養する。

 

 

1.人間失格(2009)

監督:荒戸源次郎

出演:生田斗真 他

 

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原作の「薬物中毒者の手記」という大前提を放棄したことで、人を引き付ける精神世界の描写が全く感じられなくなってしまい、意味不明な男の意味不明な物語になってしまっている。

不可解で退屈な映像の連続と、気味の悪い演技、うっとうしい演出を134分もの間耐え抜いた先に、「死んだはずの人間が大集合」という一番ダサいラストシーンで幕を閉じる地獄。

この映画を観るくらいなら、その時間をまるごと原作を読む時間に充てるべき。

 

 

 

2.恋空(2007)

監督:今井夏木

出演:新垣結衣 三浦春馬

 

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基本的にキャラクターと脚本がバカすぎる。というより、もはや心理描写に血が通っておらず、奇妙で不気味。

出会いもダサいし、展開も急、挙句の果てには図書館でセックスしたりとか正直気持ち悪い。主題歌がミスチルなのは、もはやこんな映画に使うなという怒り

まあ恋愛体質でもない23歳男性がこの映画を真剣に考察していることの方が地獄。

 

 

 

3.コーヒーが冷めないうちに(2018)

監督:塚原あゆ子

出演:有村架純 伊藤健太郎 他

 

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時間を巻き戻せる不思議なカフェの物語。

人間ドラマの中にファンタジックな設定を織り交ぜるのはいいけれど、出だしっから「ねえねえ、時間を巻き戻してよ~」的なセリフで幕を開けるように、この映画はそこにミステリアスさが無い。

設定自体は結構繊細で興味深いポイントもあるのに、無駄に説明をしたり、ダサい演出を交えたり、うっとうしい説教を交えてくるから楽しめない。有村架純石田ゆり子の正体とか、不思議なままで良いし、興味もない。

松重豊薬師丸ひろ子の演技は凄かったから、そこが唯一の見どころかな。

何より清楚っぽい感じの有村架純のキャラが避妊をしていないということが一番の驚き。

 

 

 

4.スマホを落としただけなのに(2018)

監督:中田英

出演:北川景子 田中圭 千葉雄大 成田凌

 

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まず、北川景子スマホを落とさない。

それはいいとしても、スマホを落とした「だけ」ではない。

情報社会が過熱してスマホに依存しがちな現代人にとって、スマホを落とすというのは常に隣り合わせの恐怖やと思う。たったそれだけのことで人間関係や隠している秘密が明らかになってしまうっていうのは凄く興味深いテーマやと思う。

そういうベースの設定を活かすことが出来れば社会派ホラーというか、誰にでも共感できる恐怖を描けるはずやのに、うすっぺらくてしょーもないサイコスリラーに逃げた作品。

結局メインの登場人物はみんな潔白で、あれもこれも勘違い!みたいな展開。汚れ役は殺人犯に押し付けて、脚本の脆さと浅さを、小手先のサスペンスとホラー的演出を押し付けることでごまかそうとする。描かれるべきポイントを無視して、とんでもない方向に映画が着地しようとしたときは、頭を抱えてしまった。

ミステリーとしてもサスペンスとしてもドラマとしても中途半端で、最終的に「恋愛映画」みたいな空気で終わる。

何の勝算があったのか、2が制作された。

 

 

 

5.僕だけがいない街(2016)

監督:平山雄一

出演:藤原竜也 有村架純 石田ゆり子 他

 

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この映画の凶悪なところは、中途半端に原作のネタバレをしていること。原作のアニメだかマンガだかは面白いんやろうけど、この映画を観てしまったことによりネタバレ無しでそれらを楽しむことが不可能になってしまった。

キャラクターの行動原理があまりに謎すぎてついていけない、キャラの掘り下げも甘いから応援もできない。演技もわざとらしくて退屈。

一ミリも面白くないサスペンスの先に待ち受けるクソみたいな犯人のクソみたいな動機、置いてけぼりの展開。いいところが一つもないという珍しい映画。

減点法で0点、加点法で0点。

 

 

 

6.ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017)

監督:廣木隆一

出演:山田涼介 西田敏行 尾野真千子 他

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脚本の筋はステキ、感動するし優しさがあるしメッセージ性もある。東野圭吾原作ということでなんか時空を超えて繋がっていく的な脚本の気持ちよさもある。

しかし、それ以上に退屈な時間が長すぎる。キャラクターはくだらないし、全てのセリフ、出来事が「壮大なタイムスペクタクル」の1ピースにすぎない感じが観ていて本当に楽しくない。バラバラに無理矢理見せられたものが無理矢理つなげられていくような違和感を感じる。

キャラクターの説明やバックボーン、魅力を語る時間が少なすぎて感情移入できないし、その割には全く必要性を感じないシーンやカットがやたら多い。物語の面白さや観客の感動をおざなりにして、山田涼介や門脇麦のプロモーションを優先させているような感じ。人気のアイドルを起用、感動は西田敏行尾野真千子あたりの説得力ある俳優にお任せ、脚本のつまらなさはタイムスペクタクルでカバー。小手先のエンタメを纏ったスカスカな映画を作るのもそろそろいい加減にしてほしい。

 

 

 

合掌。

 

 

例えば恋愛映画のように、ティーンが観に行くものであり、クオリティを求められていない作品もある。それはそれでいい。

けど、めちゃくちゃ感動できる作品を作りました!大人の鑑賞に堪えるサスペンス作りました!社会派のドラマ作ってみました!みたいな顔しながら、結局のところアイドルのプロモーションにとどまらない映画、それはアカンやろ!

「ナミヤ雑貨店」「コーヒー」「僕だけ」みたいに、科学的にありえないことが起きるのは全然いい。でも、「人間の行動原理」的にあり得ないことが起きるのはアカン。

どうでもいい人物が死ぬ、映画は感動的な空気になっているけど、その人に思い入れもなんもないから退屈なだけ、とか。しっかり感動出来て、奥深い日本の映画も山ほどある。こういうクソ映画のせいで、「日本の映画っておもんない」っていう誤った考えが蔓延するのは日本の損失やと思う。