1日1本映画レビュー 『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』

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『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語

 

原題:『Little Women』

公開:2019

監督:グレタ・ガーウィグ

出演:シアーシャ・ローナン

   エマ・ワトソン

     フローレンス・ピュー

     ティモシー・シャラメ

   ローラ・ダーン

   メリル・ストリープ

 

 

朝の連続テレビ小説の総集編

 

 

以下感想。

 

この映画が好きな人は読まん方がいいかも~ 

 

 

 

 

【グレタ×ローナンの期待感】

 

グレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンがタッグ。

このコンビ、以前レディ・バードで実現している。

 

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モラトリアムの苦悩、青春のイニシエーション、奥深い親子の愛を、フレッシュかつドラマチックに、キャラクターの機微を丁寧に描いて表現した映画で、めっちゃ良く何回か泣いたりもした作品。

 

その二人がタッグを組むわけやから、それは見なアカンと思い鑑賞。

正直、内容とかは一ミリも興味なかったけど、コロナ落ち着いて久々に映画館に行ける!というのもありめっちゃ楽しみにしてた。

 

 

 

【原作ありきの脚本】

 

若草物語ってなんか有名な物語らしいんやけど、どうやらこの作品、それのリブートらしい。

原作観てない状態でどうこう言うのは良くないとは思うけど、この映画、かなり嫌い。というか、好きになれる点、良いと思える点が何一つとしてなかった。

 

フィルマークスの評価はめちゃくちゃ高い。

レビュー数2万越えで評価☆4.2/5.0なのは、正直一ミリも意味が分からない。

 

 

というのも、この映画、脚本があまりにスカスカ。

のクセに130分もあるというのは、拷問に近い

 

 

なんか、自分の知らないところで凄いいろいろ進んでる。

え?この人そんな感情抱いてたん?

みたいな。

 

 

あ~この二人くっつくんや~知らんけど。

ドラマを毎週見てる人からしたらここめっちゃいいシーンなんやろな~

たぶん毎週見てたらこういう展開も納得できるんやろうな~

 

 

 

え?この映画が全部?

 

 

 

【登場人物の感情の描かれ方が雑】

 

たぶん時代の背景的に、女性の立場が低いってことやと思うんやけど、そういった描写が甘いから、あまり伝わらない。

 

女性の幸せ=結婚

 

っていう固定的な価値観が蔓延してるってのは想像できるけど、「その理不尽さ」みたいなのが全然感じられない。

なので、主人公のジョーの感情の変化が全然伝わって来ず、ただのおてんばな娘にしか見えない。

 

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ジョーは時代につくられた幸せの価値観に抗おうとしている少女。

それ自体は素晴らしいことなんやけど、彼女がその幸せの実現ために苦悶するさまが全然伝わってこない。

 

女性の幸せは結婚ではない!

女性も自己実現という幸せを追求してもいいはず!

 

だからこそ彼女の才能である文学を武器に小説家になろうとするんやけど、アッサリ連載を獲得。

そしたら知り合いの男の教授に文章を酷評されてブチ切れ。

 

 

 

男の教授「君には才能がある けど、この文章はくだらない」

 

ジョー 「でも、こうじゃないと売れないんだもん」

 

男の教授 「君がなりたいのは退屈なモノを書く売れっ子小説家なの?君の才能を活かせる作品はほかにあると思うけど、売れないからって書くのやめるの?」

 

ジョー 「素人が適当なこと言うな!二度と話しかけてくるなよ!」

 

 

みたいな流れ。

こんなこと言われたらそらキレるよ、っていうぶぶんではあるんやけどね。

 

でもここに「ジョーは薄々感じていた現実を突きつけられた」という脚本の流れがないから、ただただ癇癪起こしただけに見える。

 

葛藤しながら、苦労しながら…という描写が薄く、シーンが入ってこない。

似たように薄さを感じる点が山ほどあった。

 

 

毎日欠かさずドラマを観てればこのシーンもグッとくるんかな?

 

 

え?この映画が全部?

 

 

 

演技はワントーンな時間が長いし、演出も駆け足やし、映し方も甘い。

映画の焦点が散らかっているから、主題がなかなか見えないし、そもそも主人公としての魅力も薄い。

 

 

 

【他のキャラも薄い】

 

 

ほぼ群像劇といってもいいくらいたくさんキャラが出るし、主軸となるキャラクターの焦点も移る。

おそらくそれが「ストーリー・オブ・マイライフ」のポイント、いろんな悩みや幸せ、っていう点なんやろうけど、薄くて浅けりゃ退屈なだけ。

 

無駄にキャラクターを出しまくり、浅堀りするせいで映画全体のテーマが浮かんでこない。

 

エマ・ワトソンの起用の雑さ、空白を埋めるようなローラ・ダーンとかの大物俳優。

キャラクターとしての魅力がないのにルックスだけでごり押しのティモシー・シャラメ

雑に死ぬキャラクター。

雑にくっつく男と女。

 

空白の無い映像。

カットが多く疲れるし、情報量も、映像からくる感情表現も多い。

常に誰かがしゃべってるか何らかの音が鳴ってるから余韻がないし、想像の余地もない。

それどころか、朝ドラの総集編のような急展開。

 

 

おそらくドラマを毎週見てれば… 

はい。

 

 

 

演出も、俳優も、音楽も、脚本もスカスカの映画を130分も耐えて観た結果、最終的に得られたテーマ

 

 

幸せは人それぞれ

 

 

 

 

言われなくてもわかるわ。

 

 

 

 

 

前作の『レディ・バード』は、サクラメントの景色を眺めるお母さんの表情を長回しで写したり、無音を使って観客のノスタルジーを呼び起こしたりしてたのに。

なんでこんな商業的な映画になってしもうたん?

 

悪い映画というより、良い点が一つもない映画っていう感じがした。

何か別の視点からみて、良いと思える部分があるんやろうか。俺には分からない。

 

正直もっと悪口言えるけど、やめとく。

 

 

 

 

エンタメ:☆★★★★

テーマ :☆☆★★★

バランス:☆★★★★

好き  :★★★★★

計  4/20

 

 

 

 

 

 

〈オススメのグレタ×シアーシャ映画〉

レディ・バード

 こっちはめっちゃ良かった。いまだにいろいろ覚えてるくらい良かった。